1946年の連邦下院議員選挙において、ジョン・F・ケネディ(JFK)の陣営が対立候補と同姓同名の人物を立候補させ、票を分散させようとした出来事があります。選挙の裏工作として知られるこの事例の経緯と、現代における同姓同名候補の扱いについて解説します。
JFK初当選時の「同姓同名」工作
1946年、マサチューセッツ州第11選挙区の民主党予備選に立候補した29歳のケネディにとって、最大の問題となったのは現職市会議員のジョセフ・M・ルッソ(Joe Russo)でした。ルッソは地元ウエストエンド地区のイタリア系住民から強い支持を得ていました。
ケネディ陣営は有権者名簿を調査し、同じ地区に住む27歳の清掃員で、同姓同名である「ジョセフ・ルッソ」を見つけ出します。陣営は見返りを用意してこの清掃員に立候補を働きかけました。
投票結果
- ジョン・F・ケネディ: 22,183票
- ジョセフ・ルッソ(市会議員): 5,661票
- ジョセフ・ルッソ(清掃員): 773票
結果としてケネディが圧倒的な票数で勝利したため、この工作が勝敗に直結したわけではありません。しかし、対立候補の支持基盤を削るための選挙戦術として記録に残ることになりました。
現代の制度における同姓同名候補の扱い
現代の選挙制度では、有権者の混乱を防ぐための識別手順や、判別できない票の処理基準が定められています。
日本の公職選挙法と「按分票」
日本の自筆記載方式において同姓同名が立候補した場合、選挙管理委員会はポスターや掲示板に年齢・職業・住所などを併記して区別を図ります。
有権者が「氏名+職業」や「氏名+住所」を記載して投函した場合は、該当する候補者の有効票となります。
氏名のみが書かれた票については、公職選挙法第68条の2に基づき「按分(あんぶん)」処理が行われます。これは、判別可能な票の獲得割合に応じて、該当する候補者に小数点単位で票を割り振る仕組みです。
按分計算の例 候補者Aが1,000票、候補者Bが500票を獲得しており、氏名のみの票が3票あった場合、2対1の比率に従ってAに2票、Bに1票が配分される。
このルールが存在するため、同姓同名の候補者を立てて票を減らそうとしても、判別不能票の多くは獲得票数の多い候補者に流れる構造になっています。
アメリカの選挙制度
アメリカでは、マークシート方式や電子投票機の普及により、投票用紙上に氏名だけでなく所属政党や「現職(Incumbent)」の表記が印刷されるのが一般的である。そのため、有権者が同姓同名の候補者を誤って選択する可能性は低くなっています。



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