当サイトのトップにも書いていますが、政治に対する関心の持ち方や情報の受け取り方は多様化し、組織に頼る従来型の選挙が通用しにくくなっています。とはいえ、組織票や強固な地盤、支援団体といった基盤は、選挙戦において心強い味方となることに変わりありません。やはり、あるに越したことはないのです。
選挙に詳しい人でしたら「基礎票」という言葉を聞いたことがあると思います。選挙において候補者が持つ「確実に得られる見込みの票」のことです。
国政選挙で一番分かりやすい例は、公明党(衆議院では中道改革連合)でしょう。宗教団体である創価学会を支持母体として持ち、選挙区内の信者の数が基礎票となります。そこから、信者が友人知人に投票を依頼する「F票(Fはフレンドの略)」で票の上積みを図り、さらに政策や候補者の人となりをアピールして、浮動票や無党派層を取り込んでいきます。
地方議会の議員選挙における基礎票の例として、推薦を受けた自治会・町内会の票、会社や業界団体の職域票、消防団やPTA、労働組合などの団体票、親族・血縁関係の票などが挙げられます。
大都市で暮らしていて「地縁・血縁」と聞くと頼りない印象を受けるかもしれませんが、小さな町では決して侮れない存在です。ある町議会議員の選挙を取材していたとき「わしの一族はこの町に80人ほどいる」と言う人に出会ったことがありました。このときの当選ラインが確か300票くらいでしたので、この人を味方に付ければ、あと220票を集めることで当選できる計算になるのです。
基礎票とよく似た意味の言葉に「岩盤支持層」があります。米国のトランプ大統領に関する報道でよく耳にするのではないでしょうか。日本では、なぜか強固な保守層を指す際に使われることが多く、安倍晋三元首相や高市早苗首相などの支持者を「岩盤保守」と呼ぶことが多いようです。
岩盤支持層は、基礎票と同様に揺るがぬ支持で確実に投票してくれる人々を指します。ただ、基礎票と異なるのは、必ずしも何らかの組織や団体に依拠しているとは限らない点です。徒党を組まず、個々が自発的に熱心な支持者となっている、といったイメージです。
SNSにより、多くの人が簡単に情報の収集、発信ができる時代。それゆえに、組織や団体に属していなくても、「見えない連帯感」のようなものを抱き、意中の候補を応援できるようになっているのかもしれません。あふれる情報を分析し、「いま、地域で何が起きているか」を可視化するスキルが、候補者に求められているといえるでしょう。


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